JAPAN MINUTE in Suwa City

3つのストーリーが伝える諏訪の技術

デメリットを逆手に、アウトプットのひらめきを得る

こんにちは。合同会社シーラカンス食堂の小林新也です。

松一さんの高い技術力をアピールできるアウトプットを模索するため、初めての諏訪訪問後も松澤さんと引き続き打ち合わせを行っています。

高い技術力を持つ“下請け” “OEM”メーカーならではの悩み

松澤さんは、超精密切削をはじめ、ものづくりに関してはなんでも対応できてしまう凄い技術を持った方です。松一の社内には研究所を設置し、工作機械や人を揃えることで、顧客メーカーのありとあらゆるオーダーに対応できる体制も整えています。

 

しかし、このなんでも作れてしまう高い技術力をうまく対外的にアピールできていないことが松澤さんの悩みの種になっており、今回のプロジェクトにご応募されたのもそのことがきっかけでした。

 

松一さんをはじめ、諏訪にあるメーカーの多くは、大手企業の下請けやOEMの仕事をメインとしています。だから、自社で作っているものを安易に公表できず、高い技術力を対外的にアピールすることができません。

 

そこで「自社製品を作ろう!」とさまざまなトライを重ねるのですが、アイデアの製品化には時間がかかり、さらにそれで利益を出すためには膨大なロットを製造しなくてはならず、高いハードルがいくつも待ち構えています。

 

今回のプロジェクトでは特に時間と予算の制約があるため、製品ではなくなんらかのアウトプット、という方向性は早くから決まりました。でも、松一さんには高い技術力があるため大抵のものは具現化できてしまいます。

だからこそ、どんな技術を使い、どんなアウトプットを作るかに迷いが生まれていたのです。

大学教授も驚く、松澤さんの“磨き”技術にヒントを得る

松一さんがもっとも得意とする加工は、刃やドリルを使って対象物を“磨く”研磨加工です。 

松澤さんはこの技術を追究するため、社長業のかたわら兵庫県立大学の大学院で“磨き”を科学する研究を行っています。

大学院での研究を見学させていただき、松澤さんの教授も交えてお話をすれば、何かアウトプットのヒントが得られるかもしれない!そう思い、早速大学を訪問してきました。

大学でいろいろお話をうかがうと、松澤さんは今「バフ研磨」にこだわっていて、教授も驚くほどのクオリティで鏡面加工をしていることがわかりました。

 

さらにお話を聞いていくと、そのようにきれいに鏡面加工された物体同士は、ピタっとくっついてしまうとのこと。これは本来、鏡面加工のデメリットとして捉えられているそうですが、僕は逆に「面白い!」と思いました。

 

たとえば、いくつかの物体の組み合わせてできているオブジェクトがあって、その物体同士をつなげているのは接着剤や溶接でもなく、よく磨かれた鏡面加工同士に生まれる吸い付きだったとしたら……。

 

これをわかりやすいビジュアルに落とし込めれば、松澤さんの技術力をうまくアピールできるかもしれない!


そんなヒントを得た帰り道、松澤さんが僕の地元、兵庫県小野市に来てくれました。写真はその時に撮影されたものです。

 

刃物の職人や生花の先生を紹介すると、職人同士やはり通じるものがあるのか、すぐに仲良くなって話が弾みます。新しい仕事も生まれそうな予感もあって、いい雰囲気です!

鏡面加工の性質を利用した「くっつくキューブ」で、松一のブランディングを!

数日後。大学訪問で得たヒントを「鏡面加工した面同士がくっつくキューブ」というアイデアにまとめ、松澤さんにメールしました。

しかし、松澤さんの反応は微妙。「キューブは新しい機械の試運転などでよく作る。ごく当たり前のもので驚きがないのでは?」というものでした……。

 

でも、このアイデアのミソは、ただキューブを作るのではなく、綺麗すぎる鏡面加工でキューブ同士をくっつけてしまうところにあります。

その驚きを松一のブランディングに活かしたい!という点を直接会ってお話したところ、意図を十分にご理解いただき、その方針で行くことが決まりました。

そして、そのアイデアをひっさげて諏訪市の連携補助金に申請したところ、プレゼン内容が高評価で、申請を通過することができました!

 

松一さんをアピールするための準備がもろもろ整い、よーし頑張るぞ!と気持ちを新たにしたところで、なんと思わぬハプニングが発生してしまいます……。

このハプニングについては、次回お伝えします!